丹波を感じてもらう
醸造所、セラー、テイスティング、どこを見ても丹波ワインの建造物には、華美なところは一つもありません。シンプルな建物は、草木や虫や鳥など丹波の自然を感じてもらえるように意識しています。それは、ワイナリーの自然環境こそがワインづくりの主役であるという、丹波ワインのあり方の表明です。
その哲学はここに働くスタッフにも浸透し、自然に寄り添い、純粋なワインづくりに取り組んでいます。
冬の剪定は実は一番重要な作業です。ブドウの実は新梢に実をつけるので、不要の枝を切り落とします。そうすることにより、樹の樹勢が保持され、バランスの取れた良いブドウができます。
4月後半から剪定した少し下の部分から新しい芽がでてきます。一見枯れ果てたぶどうの枝から青々した新芽が伸びてくると生命の息吹を感じずに入られません。この時期一番気をつけないといけないことは霜害。三寒四温で暖かくなる季節ですが、夜間はぐっと冷え込み、ときに新芽が枯れてしまうほどの低温になります。
新しく伸びた枝についた葉にまんべんなく日光があたり、かつ風通しの良い状態をたもつため、蔓を上へ人の手で誘引していきます。途中に貼られたワイヤーにテープでとめていきます。また腰の位置に実った房が重なり合わないように丁寧に位置をずらします。
一雨ごとに下草が伸びるのもこの季節。
1年かけて育てたぶどう畑作業の集大成。品種により収穫時期が異なるため、糖度と酸度、天候を日々チェックしながらスタッフ総動員で手で丁寧に行います。
ヌーボーと呼ばれる新酒は発酵終了直後にそのまま瓶詰めを行いますが、ワインの種類によっては樽で発酵させたり、熟成させ、瓶詰め後も瓶熟成を行うものもあります。
和食に寄り添うワインへ
醸造上の特徴として、微妙な味わいの多い京料理などの和食にあわせるために、できる限り雑味の少ないワインを造ることです。個性の強い品種をより濃く醸造するのではなく、料理とのバランスを考え、またワイン単体でのバランスも考え、葡萄のポテンシャルを十分に(最大限に)引き出すようなワイン造りを心掛けています。
ワイナリーセラーの壁は4重構造になっており、夏場でも20-25℃に保たれるようになっています。外の暑さがまるで嘘のよう。冬は逆に20℃なのでほんのり暖かさを感じます。白ワインで半年程度、赤ワインで12-24ヶ月程度の樽熟成を行い、瓶詰め後更に瓶熟成を経てようやくリリース。収穫から皆様の手元へお届けするまでに最長で5年の年月がかかるワイン。
ゆっくり時間をかけて美味しさを醸し出します。